彷徨(さまよ)える狼

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亮佑と咲子は瓦礫と化した國丞高校に訪れていた。 「あの敗戦から今日で六ヶ月…。俺が参りに来なければ死んだ仲間達に顔向けができない…。」 亮佑の言葉から、少し沈黙が漂ったが、その沈黙は咲子が沈黙を破った。 「旅を続けて一ヶ月…。探し物の手がかりは何か見つかった?」 「いや……何も…」 少し遠くを見るように亮佑は小さく呟いた。 「そっか…。咲子もまだやる事あるから手伝えないけど…」 「ああ…。俺も"あれ"を探さなきゃならないからな…」 亮佑は線香を上げると、ゆっくりと立ち上がった。 咲子は優しい目で亮佑を見ながら、自分もゆっくりと立ち上がった。 「体には気をつけて無茶しちゃダメだよ?」 「ああ……またな。お前も修行頑張れよ?」 亮佑は、優しい声で咲子に言うと、空気と重なるように消えていった。 「さて……咲子も頑張らないとね…」 咲子は気合いを入れるように意気込むと、踵を翻し、その場から立ち去った。 そして、その口元は嬉しそうに笑っていた。 「「深紅」か…。確かにピッタリな感なのかも…」 亮佑は探している物を求めて次の地へ赴(おもむ)く。
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