243人が本棚に入れています
本棚に追加
/437ページ
亮佑と咲子は瓦礫と化した國丞高校に訪れていた。
「あの敗戦から今日で六ヶ月…。俺が参りに来なければ死んだ仲間達に顔向けができない…。」
亮佑の言葉から、少し沈黙が漂ったが、その沈黙は咲子が沈黙を破った。
「旅を続けて一ヶ月…。探し物の手がかりは何か見つかった?」
「いや……何も…」
少し遠くを見るように亮佑は小さく呟いた。
「そっか…。咲子もまだやる事あるから手伝えないけど…」
「ああ…。俺も"あれ"を探さなきゃならないからな…」
亮佑は線香を上げると、ゆっくりと立ち上がった。
咲子は優しい目で亮佑を見ながら、自分もゆっくりと立ち上がった。
「体には気をつけて無茶しちゃダメだよ?」
「ああ……またな。お前も修行頑張れよ?」
亮佑は、優しい声で咲子に言うと、空気と重なるように消えていった。
「さて……咲子も頑張らないとね…」
咲子は気合いを入れるように意気込むと、踵を翻し、その場から立ち去った。
そして、その口元は嬉しそうに笑っていた。
「「深紅」か…。確かにピッタリな感なのかも…」
亮佑は探している物を求めて次の地へ赴(おもむ)く。
最初のコメントを投稿しよう!