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残された洋一は呆然とその場に立ち尽くした。
☆
教室までの所要時間
最短記録十分。
現在時刻7時30分7秒
登校完了時刻7時40分
現在時刻を確認した洋一は焦った。
☆
最短記録を一分縮め彼はチャイム前に自分の席へ辿り着いた。
因みに最短記録は常に下駄箱から最も近いクラスの人が叩き出していた。
しかし彼は下駄箱から最も遠いクラスの窓側の席である。
そう、廊下側ではなく…。驚くべき事である。
にもかかわらず、彼は汗一つかかず、服に一切乱れはない。
更になにもなかったように悠然と席に座って居る。
その姿は今朝の出来事を夢と思わせるものがある。
彼が醸し出すオーラは怒りなど到底無縁な紳士的オーラ他ならなかった。
裏を返せばつまり、無縁の筈の怒りをただ一人の人間の事に関してあそこまであらわにするー即ち成海ひよのと言う人間は彼にはとってとてつもなく特別な存在だとわかる。
簡潔に言ってしまえば、彼は彼女に特別な感情ー恐らく恋愛感情を抱いて居る。という事に他ならない。
しかもそれはかなり執着した想いである。と言える。
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