第一章

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どこまでも真っ青な空にもくもくと真っ白な積乱雲が立ち込めていた。 卓也は何気なくその雲をぼぅと見つめながらタバコの煙りを吐く。 昼休みの喫煙室は満員御礼。 卓也はの足はごみごみと賑わう喫煙室よりも自然と足が屋上へ向かった。 今日はそんな気分だった。 真夏の屋上は日差しが強い。ただ、黙っているだけでもじっとりと汗が出る。 ガチャリと扉が空き上司の浜口が屋上に来た。 三十半ばのこの関西人は何かと偉そうで会社の中でも嫌われ者である。 しかし、その業績と実力は確かな者で皆ガミガミとうるさい浜口に口答え出来る者はおらず、浜口の横暴ぶりを止められる者は会社の中でも二人しかいない。
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