未知の領域

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「先輩、じゃあ、また!」 昇降口につけば、香澄ちゃんはそういって頭をぺこりと下げて去っていった。 えーと…二年は…こっちか。 で、確かこのあたりって言ってたな… あったあった。 俺は、始めて妹の靴箱を見た。 そりゃそうだ。 校舎内は学校祭のときに去年みたけど、このあたりまではチェックしてねぇし、してたらちょっと怖いだろ? フタがあるタイプの靴箱か。 うちのはぜんぜんない。 何のためらいもなく、永沢と書いてあるそれをぱかっとあけ……たら… 何かあるし。 …ラブレターとか? ないか。 ここは女子高……… …だよな? 思わず確認してしまうくらい、かわいらしい封筒。 薄水色の封筒で、かわいい丸文字で【永沢巴先輩へ】と書いてある。 …これ、俺、見ちゃまずいんじゃね?でも無視もまずいのか? …あとで巴にメール打っておこう。 ひら、とひっくり返して宛名を見れば、一年・佐久間知里と書いてある。 知里ちゃん、か。 …何か朝からちょっと疲れてきたぞ。 俺は、顔には出さずに小さく息を吐いてから下に内ズックを置いて履いた。
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