誰か夢だと言ってくれ

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ドアノブがようやく回せたのか、入ってきた声の主は荒い息をして、目にいっぱい涙をためて… 「どうなってんのよぉ、コレぇぇぇ」 その場に崩れ落ちた。 ひざを突いて泣き崩れるその姿は…まさに、俺、で。 だけど俺は今ここにいて…。 …じゃあ今俺は何?って思うまでもなく…たぶん、今の俺の姿は… 「…もっかい寝たら醒めねぇかな」 口調は俺でも声は女そのもの…そう、妹の声で。 「夢じゃないわよ!私だって顔たたいたり色々したもん!」 …目の前の俺、から聞こえるのは俺の声なのに、口調は聞き覚えのある双子の妹のもので。 ああ。 いっそのこと錯乱してしまいたい。 「目が覚めたら、ちゃんと私の部屋なのに手足長くなった気がして…そしたら、鏡みたら…っ、どうみても…っ」 混乱しまくってる妹。 だけどその声は俺の声。 …頭痛い… 「…落ち着け、とりあえず整理しようか。昨日の夜までは大丈夫だった、ってことは…。…階段一緒に落ちたとき、か?」 確かに頭ぶつけたような気はするけど、まさかそんな古典的な… 「…もっかいやってみる?」 俺の提案に、俺の顔をした巴は頭をぶんぶんと横に振った。
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