188人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
ドアノブがようやく回せたのか、入ってきた声の主は荒い息をして、目にいっぱい涙をためて…
「どうなってんのよぉ、コレぇぇぇ」
その場に崩れ落ちた。
ひざを突いて泣き崩れるその姿は…まさに、俺、で。
だけど俺は今ここにいて…。
…じゃあ今俺は何?って思うまでもなく…たぶん、今の俺の姿は…
「…もっかい寝たら醒めねぇかな」
口調は俺でも声は女そのもの…そう、妹の声で。
「夢じゃないわよ!私だって顔たたいたり色々したもん!」
…目の前の俺、から聞こえるのは俺の声なのに、口調は聞き覚えのある双子の妹のもので。
ああ。
いっそのこと錯乱してしまいたい。
「目が覚めたら、ちゃんと私の部屋なのに手足長くなった気がして…そしたら、鏡みたら…っ、どうみても…っ」
混乱しまくってる妹。
だけどその声は俺の声。
…頭痛い…
「…落ち着け、とりあえず整理しようか。昨日の夜までは大丈夫だった、ってことは…。…階段一緒に落ちたとき、か?」
確かに頭ぶつけたような気はするけど、まさかそんな古典的な…
「…もっかいやってみる?」
俺の提案に、俺の顔をした巴は頭をぶんぶんと横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!