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「いやよ!すんごい痛かったんだから!それに、私、もうすぐピアノコンテストなんだから怪我したくないもんっ!」
…ごめん、本当ごめん、巴。
「…俺の顔で「もんっ」とか言わないでくれよ…」
気持ち悪くなった。
がくりと肩を落とした俺。
「何よ!私だってそんな話し方する私なんて見たくないわよぉっ!」
…巴って本当はこんなにヒステリックじゃないんだけどな。
…まぁ、混乱するよな。普通だよな。
俺だって…
「……。元に戻んなかったら俺がピアノ弾くことになるのか?…できないことはないけどお前みたいには無理だぜ?」
小さいころ一緒に習ってたとはいえ、バイエル止まりの俺が、周囲に注目されまくっている期待のピアニストと同じふうに弾けるわけがない。
小さいころは今より似てて、二人並ぶとお人形さんみたい、なんていわれてたけど。
今じゃ、巴が163で俺が178。
巴も女子にしては大きいほうだけど、15センチも離れてそんなに似てなければ、もう双子だろ?なんて聞かれない。
双生児じゃないしな。男女だし。
「…そういえば…もうすぐ俺も大会があった」
巴の着ていたネグリジェがスースーすることに気がついて視線を下に落として…
俺は固まった。
…声のことしか頭になかったけど…俺、今、巴になってるってことは…っ
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