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胸が…胸がある…っ
硬直した俺をおかしいな、と思った様子の巴はすぐに気がついて、
「…?…って、みちゃだめぇぇぇっ!」
がしっと俺の両腕を掴んで抱きしめてきた巴。
…とはいっても俺の体だから、なんかすげぇ力。
「痛いって、巴!」
巴の腕の中でもがく俺。
しかもなんか、この構図って…
「何やってんの二人とも!ごはん食べちゃいなさいって、いい年して何兄妹でイチャついてんの!はやくおいで!」
ばーんといきなり扉を開けて入ってきた母さんに怒鳴られて、はっと気がついた巴は俺を放した。
「い、いちゃ…っ」
引きつるなって。
俺の顔で。
「いいから早くおいでね?」
母さんは、仲いいことはいいこと、とか言ってすぐに出て行った…
…けど。
巴は、立ち尽くしてる。
「お兄ちゃん…、…私、水泳…泳げないわけじゃないけど、お兄ちゃんみたいに泳げないよ?」
呆然としていた巴が、ぼそぼそと口を開き始めた。
…やばい。
さっきのお互いの言葉を思い出す。
「もうすぐ記録会がある…」
「私だってコンテストがあるの!」
…俺ら、絶体絶命のピンチじゃん!
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