誰か夢だと言ってくれ

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「絶対できないっ」 叫ぶ巴。 絶句する俺。 俺はおもむろに手を開いて目の前にかざしてみた。 巴の指。 綺麗で長くて…ピアニストの指。 俺、こんなの使いこなせねぇよ。 小さいころは本当、体型も似てて、かわいいねなんて二人で言われて。 だけど巴は音楽、俺は水泳にのめりこんで。 道をたがえた辺りからどんどん体つきが変わっていった。 顔つきだって声だって何もかも。 性格は負けず嫌いで、向こう見ずってとこはそっくりだって言われるけど。 「…とりあえず…母さんに相談する?」 「…しかねぇよな」 二人でぼそぼそと相談しあう。 とりあえず着替えることにして、俺はできるだけ体を見ないようにして、巴の学校の制服を着た。 巴も俺の部屋にはいってきて、俺の制服を。 …なんか、巴の部屋で…、…制服とはいえスカートをはく、なんて。 …俺…へこみそう。
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