【始まりの時】

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……西蓮寺高校、という如何にも中二病を引きずった命名の高校の割に、制服は意外とまともだ。 ……というか、これと言った特徴のないブレザーだ。【高校 制服】で画像検索して、一番上に出て来る制服代表みたいな感じだ。 一応、登校初日ということもあり規則正しく着た。 シンプルなだけに誰でも着こなせる……んだろうが、黒髪ロングなオレの髪型には、どうも似合わないらしい。鏡に映った自分は、痛いコスプレ女子大生に見えなくもない。 ……という訳で、髪は縛ってみた。うん。さっきよりはマシだな。そこの君、ポニーテール乙とか言わない。 あれだあれ、髪長い時のHYDEだと思ってくれ。あんなイケメンじゃないが。なに?切れって?ほっとけ! ……行くか。 ……西連寺高校は、うちの最寄り駅から三つ目の駅にある。 うちから最寄駅までは徒歩10分ほど。駅―学校間は5分もかからないみたいだから……これなら、遅刻ギリギリの慌ただしい学校生活を送ることは無さそうだな。 ……玄関にて、新品の革靴を履く。 新しい革特有の臭いと、あぁ履き慣れないうちは靴擦れするんだろうなという、期待と不安のような感情が入り混じる。 ……うん、我ながら中々似合ではないか。 さて、いざ出発……の前に。 「……よしよし、今日も元気だな、ランラン。今餌やるからな。」 我が家のアイドル。玄関を明るく照らす希望の仲間。このランランは………まぁ属に言う金魚だな。 まぁ金魚一匹だけ飼うってのもかなり微妙だが…… 一人暮らしで寂しいから飼ってる。なに?十分寂しいって?だからほっとけ! ちなみに、コイツはいつも元気が良く、何か爛々とした雰囲気がするからランランって名前にした。 決して、あの動物園に来たパンダの名前が由来ではない。 「……行ってきます、ランラン。また後でな。」 ……まだ家を出るには早いんだが……まぁ登校初日だし、早め早めに行動するのは悪いことではない。 外に出て空を見ると、6月にしては珍しいぐらいの快晴だった。 《アイツ》からの贈り物かな…… そんなことを思いながら、オレは学校に向かった――――。
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