【始まりの時】

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……流川七美(るかわななみ)。それが彼女の名だ。 黒髪ロングの美人さん。というのが一番的確な表現だろうか。個人的な意見だが、月が似合う女性だと感じた。 ……くっきり二重が特に印象的で、月明かりの下、凍るような彼女の横顔に魅了される男は数知れず……みたいな感じだ。 一見どこにでもいそうな普通の女子高生だが、彼女もまた、涼のように真っ先にオレに話し掛けてくれた人物の一人だ。『初めまして!流川七美っす!よろしく!』と言って握手を求められたのが印象的だった。 「不動君、落合なんかと仲良くしてやんなくていーのよ。こんなん頼るならアタシに何でも聞きな!」 「おい待て流川。それじゃ幸人が妥協して俺と話してるみたいじゃねーか。俺はから揚げのためならトラックも止めるぞ。」 「あんた妥協して付き合う友達No.1として校内でも有名よ。トラックなんて止められてもアタシは止められないわ。」 そう言って、涼の弁当箱から揚げをもう一つ口に運ぶ流川。 「……楽しみ取っておいたから揚げをー……」 「楽しみなら取っとかないですぐに食べる、実行する。人生何があるかわかんないんだからね……あ、そうそう不動君。」 「なんだ?」 「ユミナ……って閖本の下の名前ね。ユミナが今ジュース買いに行ってるから、帰って来たら3人でお昼食べましょ♪」 「あぁ……もちろん。喜んで。」 「1、2、3、4……おい流川。幸人、流川、閖本、俺で4人いるぜ。」 「落合、あんた誘ってないから。」 ……涼のキャラ位置は何となく把握した。
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