【始まりの時】

11/11
前へ
/250ページ
次へ
………その後は、教室に戻った閖本由美奈も含め3人……いや4人で昼休みを過ごした。 昨日の今日で突然の再会を果たしたことに気まずさを感じたのか、はたまた彼氏だ彼女だというクラスメイトからの冷やかしに心を痛めたのか。閖本由美奈は昼休みまでオレに話し掛けてくれることは無かった。 流川の計らいでようやく対面することが出来た閖本由美奈の第一声は、『昨日は本当に有難うございました』という、実に他人行儀なものであり、オレはそのような堅苦しい言葉を快くは思わなかった。 しかし、流川や涼に『お前そんな堅いキャラじゃないだろ』とツッコまれていたこと。それ以降の会話では敬語を使わずに話してくれたことからも、閖本由美奈との関係がギクシャクしたものになるのではないかというオレの心配は杞憂だったと考えられる。 ……オレは閖本由美奈のことを何と呼べば良いのかという疑問を"当初"から抱いていたが……涼が彼女をそう呼んだように、オレも自然と"閖本"と呼ぶことが出来た。 いじられキャラ、涼。 黒髪ロングの美少女、流川。 ……そして、閖本由美奈。 こんな3人と織り成すドタバタ学園ラブコメディーが今始まる!………というほど幸せに満ち溢れた生活が始まる訳ではないが、今後のストーリーに関わる重要な人物が出揃ったのは、紛れも無い事実だ。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加