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―――帰り道。不動幸人さんが去った後……
一連の出来事を見ていた多数の野次馬さんのうち、幾人かの心優しげに見える人が救急車を呼んでくれようとしたけど、私はそれを断り帰路に着いた。
救急車にお世話になるほどの外傷はないし、今のところ体に違和感もない。ならばいっその事、新しい服でも買って着替えようかとも考えたけれども、流石にそんな気分にはなれず、大人しく帰宅することに決め電車に揺られている。
泥だらけびしょびしょの私を見る世間の目は暖かいものではないけれど、私は、そんなこと気にする性格じゃない。
………当てもなく外に出た、何の変哲もないはずの一日だったのに……随分と大変な目にあった。
……不動幸人。
連絡先くらい聞いておけばよかった?……なんて、聞いてどうする訳でもないし、もう二度と会うこともないのだろうから関係ないか。
でも……なんだろう。今更だけど……あの人のこと、もっと知りたかった。
ふと、そう思った。
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