132人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――
「……ただいまー。」
「おかえり……どうしたの?泥だらけじゃない。一人で泥遊びでもしてきたの?あなたも悲しい子に育ったもね……」
そう言って出迎えてくれた母。…ここまで私を育てたのはあなたよ。
「うん、転んだ~。」
……今日の事は言わないでおこう。さすがに、もう少しでトラックの下敷だった、なんてとても言えない。
「……そう、派手に転んだのね?……はっ!まさかっ!これがイジメってやつ!?そんな!大丈夫由美奈ちゃん!?母はいつでも見方よ!」
「……大丈夫だしたぶん今後も何もないから心配しないでけっこーです。」
「良かった!お風呂入る?」
「……うん。」
……着替を用意して、お風呂に入った。
脱いだ服を改めて見たところ、ボロボロではないにしろところどころ生地が擦れたり解れたりしていた。お気に入りだったこのワンピースも、もう着れそうにないかなと思うと、少し憂鬱だ。まあ、むしろあの事故で服がダメになっただけで済んだ事実を素直に喜ぼう。
シャワーを浴びて、髪を洗う。
私の髪は、現実ではあまり見かけないピンクブラウンっぽい色だ。アニメや漫画ならよくいるのだろうが、現実では中々いない。もちろん地毛だけど、やっぱり周りには染めているように思われる。だからか、学校とかでも初対面の人からは怖い人と勘違いされることがしばしばある。私は特に気にしてないし、誤解は解けばいいものだから、この髪色で悩んだことはないけれど。
ただ、お母さんの多少過保護なところは、こういった事情から来てるのだろうなとはたまに思う。
……ちなみに、お母さんは黒髪です。私も母も純潔の日本人です。
顔立ちが母そっくりだから間違いなく私の母はあの人だけど、お母さんは黒髪で私の髪はピンクです。
最初のコメントを投稿しよう!