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だから帰る時も途中までは同じ方向であるのだ。
実際に誘われたのは初めてである。
「今日はいい空ですね。風もいい感じだし」
「ん~そうだねぇ、夏はいいよねぇ」
俺は内心ドキドキだ。
隣にいるのは、風に茶色の長い髪をなびかせる女性。
幼い顔と小さい身長が、俺より年上とは思えない。
時折俺に向けて投げかける笑顔は、俺の疲れた体を芯から癒してくれる。
「優斗君は彼女いないの?」
「か、彼女っすか?いないっすよ!全然いないっす!」
「どうして?」
「え、いや…どうしてもこうしてもないですよ。そんなモテないですし」
それは残念な現実である。
「そうなの?」
だけど静流さんは首を傾げている。
「そんなもんなんですよ」
どこからともなく聞こえる蝉時雨。それは夏を彩る一つの風物詩とも言える。
今日は夏の中では比較的過ごしやすい涼しい気温。
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