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誤解
「あの~」
歩き出した俺は
突然声を掛けられて足を止めた
背の高いスリムでポニーテールの
先程抱き合ったばかりの彼女だった
人の群れの中で時間が止まった二人
先程は至近距離過ぎて分からなかったが
(というかお化粧のノリが良くなかったが・・)
どちらかというと和風で笑顔の綺麗な
俺好みのレディじゃないか・・・
※ラブロマンスへ進化しました。
先程はすいませんでした!
彼女の顔に噴き出した事を思い出し
俺はすかさず謝罪した
「いえ、いいですよ」
「私も突然の事で驚いてしまって・・・」
・・・・・
「電車の中であんな告白されたのは初めてでした」
えっ?
「よくお見かけしてしていましたので」
は?
「でも、いきなりでしたから・・・」
はぁ?
「今日は仕事ですから、また改めてで・・・」
なんとなく女の顔になっている彼女
「好きでしたって呟かれた時は正直ドキドキしました」
・・・・・
・・・・・
・・・・・!
あの、
別の事で壷にハマっちゃって・・・
お顔へ噴き出してしまったので・・・
本当に「すいませんでした」って・・・
何とか伝えたかったものですから・・・
・・・・・
あっ!
すいませんでした・・
好きでした・・・
・・・・・
沢山の薔薇に囲まれていた二人の周りが
人の群れに戻った
・・・・・
重い
重すぎる
この空気・・・
「そ、それじゃまたご縁がありましたらぁ~」
顔を真っ赤にした彼女は
そう言って駆け足で去っていった
あぁ~~~~~!
俺は馬鹿だ!
この正直な性格何とかしとくれ~
薔薇は薔薇は~
気高く咲いて~
薔薇は薔薇は~
美しく~散る~~
オスカ~~~~ル!!!!!
※ベルサイユの薔薇エンディングソングより
サンシャイン通りを射した日差しが
妙に眩しく感じられた
また顔合わせたら
どんなリアクションすればいいかな?
そんな事を考えながらも
頭の中のスイッチはビジネスモードへ切り替わっていく
そしてかすかに残る
股間の痛みを感じながら
俺は戦いのフィールドへ歩き出していた
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