祈り

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黒い黒い鳥が一羽 赤い朱い少女が一人 ひがな一日歌い上げるは 孤独の涙 鳥は鳴かずただ歌う 少女に合わせてただ歌う 短く白い手足には まがまがしい程に絡む鎖 笑顔を忘れ 涙を忘れ 感情を怠惰と棄てた少女には 真っ当な救いなど訪れず ただ暗愚にも忍び寄る 毅然の死を焦がれ待つ 何時しか歌の止んだそこで 横たわる冷たき少女に 傍らの九官鳥が涙を流し 哀愁ぞとばかりに 一声鳴いた (九官鳥が鳴いた)
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