ー地獄行きの赤い切符ー

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帰り道、公園を歩いていると、珍しく露店が出ていた。店主は黒づくめでロングコートにキャップを目深に被って怪しげな雰囲気を醸し出していたが、並んでいるアクセサリー類は他では見る事が出来ないくらい素晴らしい出来のものばかりだった。 「わぁ~、かわいい~。」 目を輝かせて品物を見る私を見て雄輔は言った。 「欲しいのか?」 「うん!!」 そう言って更に目を輝かせてる私を、『やれやれー』といった感じでー。 「どれがいい?」 「え?いいの!? じゃあね、じゃあね~…これ!」 私が選んだのはハート型で土台が羽のモチーフが付いた紅く光るガラス玉の指輪。 「そうか、よし、これのお揃いのある?」 店主は何も言わずにもう一対の指輪を取り出し、雄輔に渡した。 それはクラウンの形を模した土台に、スペードの形をした黒く光るガラス玉が入っていた。 「…、俺はお揃いって言ったんだけど…。」  
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