ー眠れぬ夜ー ~瑞希~

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「お父さん… 話があるの…」 部屋着に着替えて2階から下りてきた瑞希は父、道弘に話し掛けた。 「なんだ?」 母におあずけを食らったビールを目の前に訝しげな表情の道弘。 「あのね…」 どう切り出して良いか判らず、もじもじと言葉を濁す瑞希。 「何だよ?お父さんビール飲めないじゃないか。」 少し苛つきながら言葉を急かす道弘。 「うん、あのね… 私、雄輔にプロポーズされた…」 「そうか… 良かったな」 「でも…、雄輔のお父さん達はあんまり良く思ってないみたいなの…」 「そんな事はないだろう? 前に話した時にお前が卒業するのを心待ちにしてたぞ? 『早く嫁に来て欲しい』ってな」 「…え? だって、今日会って雄輔からプロポーズをしたって聞いた途端にびっくりした感じだったよ?」 「あら、卒業式の日に早速かってびっくりしたんじゃないの?」 美恵が口を挿む。 「そうかなぁ…」 (そんな感じじゃなかったけどな…) 瑞希は思ったが口にせず胸に閉まった。  
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