ムムム…

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 どうして私なの?  そう思いながら、机に向かいレポート用紙を半分に切った紙を睨み付けた。  父の意見は真知子さん以上に不可思議だった。 「ウン・・・アレだよ、アレ。て、手紙を書こう!そうして、ケンシンのトラキチ首輪に巻き付けるんだ。で、ケンシンに『トラキチ』の飼い主まで運ばせる。そうすれば相手もケンシンは我が家の飼い猫だと分かるだろう?」  ・・・だそうな。  思いっ切り真知子さんよりに寝転んだ意見をもとに、思いつきで言ったに違いないんだ。 「じゃあ、珠希が拾った猫だから珠希が手紙を書くのね」  母は相変わらずの力強い姿勢で私が書くことを決定づけた。  父はどんなに母の考え方が間違っていて私と揉めていても、最終的には真知子さんに賛成するように私を宥めるんだ。  だから渋々、こうして机に向かっている訳なのです、ハイ。
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