ムムム…

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「・・・てことは、アレね。余所で飼われているんだわ」 「ハァ~?」 「だって、それ以外考えられないじゃない。今年に入って、何回外泊してると思ってるの?」  ・・・?  そういえば、今日だって四日ぶりに顔を見たような気がする。  私が高校生になって直ぐに、ケンシンは春風と共にふわっといなくなった。  夜になっても帰って来ない。  母は私があんまり落ち着かないので、横山のおばちゃんにケンシンが来ていないかと電話をかけてくれた。 「猫には帰省本能があるから大丈夫。そのうちフラッと帰って来るって」  横山のおばちゃんを信じた母は、呑気にテレビを見ながらお菓子をボリボリと食べていた。  ケンシンが夜になっても帰らないのは初めてのことだったので、母の態度に苛立った。
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