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・・・ぶミゃ~ォ。
・・・カリカリ・・・カリ。
一瞬、幽霊かと思った。
それくらい静かに、ぼんやりと餌皿を眺めている私の瞳にケンシンが入ってきた。
「ケ、ケンシン!?」
心配していた私の思いなど知りもせず、ケンシンは目の前のキャットフードをカリカリと美味しそうに食べていた。
とても嬉しくて嬉しくて、食事中なのも構わず抱き上げようとした。
・・・ぶギゃ~ォ!
・・・ガリリッ。
子猫の時からそうだった。
食事の邪魔をすると、どんな理由であろうと爪を出し私の手をガリッとする。
――ミルクを足そうとして何度引っ掻かれたことか!
それでも、引っ掻かれてもあんなに嬉しかった時はない。
痛かったけど、ケンシンが帰ってきた嬉しさに号泣してしまった。
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