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嫌な予感がする。
夕暮れ時に届いた一通のメール。
雷矢の家に行ってきます
初めてにも近い万里からのメールは、一番聞きたくない名前を出していた。
どうしても抜けられなかった会議。
だけど、会議の内容なんて頭に残っていない。
変わらない赤信号が、俺の気持ちを更にイライラさせた。
『和樹さんですよね?』
あれは、確か万里が戻って1ヶ月くらいの頃。
いつものように次の日の買い出しに行っていた時の事だった。
『そう…だが?』
万里と同じ制服。
このスーパーでよく見かける顔。
万里の高校から、そう遠くないこのスーパーに、生徒がいてもおかしくはない。
『俺、万里の幼なじみの雷矢です』
『万里なら、買い忘れたと言って中に入って行ったが?』
『知ってます。和樹さんと話しがしたかったもので』
その瞳には、“敵意”が剥き出しになっていた。
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