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『俺に話し?』
『あまり時間がないので、単刀直入に言います。
万里を返していただきたい。』
『返しても何も、万里は自分の意志を持った一人の人間だ。
帰りたいなら帰るだろう』
『あいつは一度戻って来ようとした。
それを引き止めたのは…貴方じゃないですか?』
否定は出来ないけど…
『俺は帰れと言った。戻って来たのは、万里の意志だ』
その時、スーパーの入り口に万里の姿が見えた。
雷矢も気が付いたのか、急いで車の影へと隠れた。
『お待たせ。帰ろう』
『もう忘れ物ないか?』
『うん!』
バックミラー越しに、立ちすくむ雷矢の姿が見えた。
万里は“行こう”じゃなく、“帰ろう”と言ってくれた。
万里の中で、居候ではなく居場所になっているんだ。
…邪魔はさせない…
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