医師とあんぱん

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医師とあんぱん

大変整った顔立ちの内科医がいた。 身長185㌢で穏やかな性格だったので既婚者ながらファンが多い人だった。 家族の写真を持ち歩き(仲の良い者には見せてくれる、私も見せてもらったが大変美しく落ち着いた奥様で絵に書いたような理想的な家族でした)多忙な身ながら家族サービスを毎年欠かさない。 頭の良い人は家庭の運営も上手いらしく幸せな家庭をきづいていた。 だから彼は間違っても亭主関白なんて発揮しない、そんな自分の我を通しても妻の機嫌が悪くなるだけだとちゃんとわかっている。 だから朝出勤してくると一番にコーヒーを入れてくれとせがむ。入れてあげ席まで持っていってあげると彼は朝食をとりはじめた、愛妻弁当? いえいえ、駅のホームで買ったあんぱん一つ。 朝早く妻を起こして機嫌を損ねるよりもあんぱんを選択した彼を情けなく思いますか? 長い目で見たらきっとこれで正解なんだと思います。彼なりの家族円満の秘訣なんでしょう、だから今でも大変お幸せですよ。
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