栄史と一哉

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手の甲の中指の根元らへんから真っ直ぐ下に切れて血が大量に流れ出ていた。 「馬鹿かお前はっ!!!!」 「へ?」 それが高校に入って初めて発した言葉だった。 栄史の無事な方の手首を掴み保健室に向かう。 「わっ!ちょ、高月君っ?!」 慌てる栄史に俺は無視を決め込みズンズンと廊下を歩く。 保健室に入れば保健室にいない保健医を探すが無駄だと分かり、栄史を座らせ黙々と手当てする。 「おぉ~器用なんだねぇ高月君って。」 手際良く止血してから消毒し、ガーゼをして包帯を巻く。 「呑気過ぎだろお前。」 前に座っている栄史を睨み付ける。 けど栄史は平気そうに俺をじっと見つめていた。 「綺麗な琥珀色……やっぱり綺麗だね、高月君。」 「…………は?」 何を言い出すんだこいつ。 そう言う顔で相手を見るが気にする事なく笑った。 「声も綺麗だし、カッコいいよ。」 無垢な笑顔を向けて発した言葉に、俺はクスリと笑ってしまった。 「なんだそれ。クスクス」 口に手の甲を当て笑いを堪えればキラキラと目を光らせて栄史は俺を見つめた。 「笑った!!笑顔も綺麗なんだっずっと笑ってろよっ」 「ずっと笑ってたら馬鹿みたいだろ。」 いつの間にか初めて話した相手じゃない様に俺は話していた。 人見知りが激しい俺には初めての経験だった。 「あ、そうだね。」 「ぷっアハハ!」 腹を抱えて笑ったのは人生初。 栄史は俺に沢山の初めてをくれた存在。 第二印象は変な奴。 それが… 俺が愛した如月栄史だった。  
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