31人が本棚に入れています
本棚に追加
人①:「…今回の依頼は、船を護衛してもらいたい」
船舶から降りてきた人の中で一番偉そうな人がクロスと話している。
クロス:「行き先はどこだ。積み荷は危険なものなのか?」
人①:「行き先は水の島、積み荷は肥料だ。普段なら、この程度なら、護衛は頼まない。だが、これから通過する海域には海賊が住み着いていて、高確率で出るらしいんだ。もし、海賊に襲われて、積み荷が荒らされることがあったら一一水の島の住人が困ると思ったんだ」
ハク:「…水の島の住人にとって、肥料は花壇の花にとって大切だからな」
ハクの言葉に船舶の人々は安堵する。
クロス:「了解した。航路を確認するために乗船しても構わないか?」
クロスの提案に船舶の人々は頷く。
クロスとハクが船内に入っていく。
閖雅は中に入っていく二人を見ながら、前にいるメンディーに聞く。
閖雅:「…もしかして、仕事って護衛なの?」
メンディー:「…いや、護衛だけじゃない運び屋もしている。実はオレ達って周囲から見ると、全ての属性が揃ってる優秀な集まりらしいんだ。たまたまクロスが資金を稼ぐために運び屋として、チラシを酒場に貼ったら、依頼が来るわ来るわ…で。手際も良いから人伝に噂が広まってな」
オッドは閖雅の視線を感じて胸を張る。
メンディー:「ま、よく考えてみると人はクロスだけだ。他は魔物や元守り神、オッドは人と魔物のダブルでオレは魔物として生まれ変わった人だ。特殊性で言うなら、誰にも引けはとらない。実力で言うなら、オッド以外はお墨付きだ」
メンディーの言葉が聞こえたオッドは不服そうにそっぽを向いていた。
やがて、船舶の中からクロスとハクが出てくる。
メンディー:「よぉ、話はついたのかよ?」
ハク:「ああ。問題はない」
ハクは頷くが、クロスは苦笑する。
クロス:「そうでもないみたいだよ。通過する海域の海賊は、召喚獣を使役しているみたいでさ」
ハク:「私がいるから問題はない。水の島にも近いこともあり、力はいつになく発揮できる」
ハクの言葉にオッドは後ずさる。
オッド:「うげー水の島かぁ…俺はパスだな」
顔を青くするオッドに閖雅は好奇心旺盛だった。
閖雅:「…僕も、行っても良いかな?」
閖雅の言葉にハクは頭を縦に振らなかった。
最初のコメントを投稿しよう!