第一部・出会い

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今日も、同じように鰐鯱は船舶に向かう。 鰐鯱:「一一っ?」 鰐鯱の本能に、サイレンを鳴らす。 本能的にあの船舶に近づいてはいけないと。だが、あの船舶を襲わないと、主である船長に嫌われてしまう。 海賊船長:「おら、どうした鰐鯱!」 鰐鯱の動揺を察して、海賊船長が吠える。 鰐鯱はその警告を無視する。本能よりも、鰐鯱にとって、海賊船長が全てだったから。 ハクは船首で、その様子を見て口許に笑みを浮かべる。 ゆっくりと右手を前につき出す。掌を鰐鯱と海賊船が重なる位置に置く。 ハク:「一一一一『守神の鬱憤(ジーニアス・ドロースチーム)』…味わうといい」 一一シュパパパパッ その声と共に、海の上に一筋の細い水が高速で走る。 鰐鯱:「一一!?」 鰐鯱はその船舶に魔法を扱える人物がいると思わなかったので、避けようとするが、背後には海賊船がある。 下に潜り、尾で、細い水に海水を掛ける。 彼は尾を使って高速で向かってくる細い水に海水を掛けて帳消しにする作戦だった。 しかし、その細い水は鰐鯱が起こした海水を真っ二つにして、向かってくる。 海賊船長:「一一何してんだ!…遊んでんじゃねぇ。その立派な口で水なんざ、飲んでしまえ!」 鰐鯱は大きな口を開いて突っ込んでいく。彼は"自分の口が水のように割かれてしまうかもしれない恐怖を抱きながら"。 ハクが放った水は圧縮された水だった。 その水に触れれば、水や紙は簡単に切れる。鰐鯱ももちろん、同じようにすることは簡単だったがら彼の目的は魔物の討伐ではない。"海賊の討伐"だった。 大きな口を開けた鰐鯱に細い水が当たった瞬間、彼の身体は圧縮された水と共に海賊船に向かって吹き飛んだ。 海賊船長:「一一なっ」 海賊たち:「うわぁぁぁ、鰐鯱、こっちくんなぁーっ」 鰐鯱の目に、海賊船長の姿が入る。 一一ドバシャーンッ 海賊船の側面にぶち当たる鰐鯱と海水の音がする。海賊達は船にしがみつく。 ハクによって荒れた波が彼等を、上下に揺らす。 ハクは攻撃の手は緩めない。 浮いたところを狙い、彼は上空から水柱を呼び出して海賊に水を浴びせる。 海賊船はマストや帆が折れたり破れたりしていたので、海賊達は阿鼻叫喚だった。 荒波と圧縮された水で鰐鯱は目を回していて、海賊船長達を助けることはできなかった。
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