第一部・出会い

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ハクは沈没させる気はなく、気を失ったのをクロスとフォーカスに確認させると穏やかな海に戻した。 船舶の船長と船員はハクから少しだけ離れていた。 海賊の討伐に成功したハクは彼等とその場で別れた。 クロスの風魔法で、海賊船とその一派を風の島に送ることになった。水の島に送ることが出来たが、"愚弟の気質を受け継いだ島の住人達が厳しく取り締まることが出来ないと知っていたので、全てを風の島長の甥っ子のネヒューに任せることにした"。 風の島経由で帰ることになったので、少しだけ遅くなっていた。 海賊に関して、ネヒューにねちねちと責められたクロスだったが、ハクが早く帰りたそうな雰囲気を全面に出していたので、ネヒューはそれ以上、必要以上に引き留めることはしなかった。 クロスの手には海賊が手に入れていた報酬が入った袋を待っていた。 誰が誰のか分からなかったので、返せないので生活費の足しにしていた。 その一部をネヒューに渡そうとしたが、彼はそれを受け取らなかった。 ネヒューはそれをクロスに生活の足しにしろと不器用に突っぱねていた。 ハクとクロスとフォーカスが、中央の島に帰ってきた頃は昼を過ぎていたが、まだ明るい時間帯だった。 一一浜辺 閖雅:「ハクだ!」 フォーカスの背に乗り、クロスと共にハクの姿を確認した閖雅は嬉しそうに浜辺で彼等に向かって手を振っていた。 ハク:「一一!!」 閖雅の匂いが風に乗り、自分の鼻をくすぐった時よりも、彼に名前を呼ばれて顔を見るとフッと優しい笑顔になっていた。 ハクはクロスよりも浜辺に降り立ち、閖雅に歩み寄る。 閖雅:「お帰り、ハク。クロスさんにフォーカスも。お疲れ様!」 ハク:「…ただいま。遅くなって、すまない。…何もなかったか?」 ハクは閖雅の近くにいるアースやメンディーを見る。二人は無言で頷いた。 オッドはクロスに駆け寄ると、瞳を輝かせながら口を開く。 オッド:「で、今日の"報酬"はどのくらいだったんだ?」 閖雅はオッドを見る。 閖雅:「…報酬?」 アースはクィクィと閖雅のズボンの裾を引っ張って、抱き上げてもらう。
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