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閖雅:「もっ、もしかして…あ、アース!?」
アース:「そうよ。うちはアース。もしかしてって、なによっ」
閖雅の言葉にアースは大袈裟に狼狽える。それでも目の前にいる閖雅を見て興奮ぎみに話す。
アース:「…こっちに戻ってくるなんて聞いてなかったから、貴方の声が聞こえたときは空耳だと思ってたの!…うちの耳を信じて来て良かったわ!」
アースは再び抱き締めて自分の頬を閖雅の頬にスリスリと擦り付ける。
閖雅:「一一うわっ、ちょっと…アース、待って、待ってよっ。…兎の姿だったら、問題ないんだけど…人型は流石に…恥ずかしいって言うか…」
閖雅は姉とあまり変わらない年頃の姿をしたアースに頬にスリスリされて狼狽える。
彼は顔を真っ赤にして、そう呟くと声が徐々に小さくなる。
アースはそんな閖雅を見て、満足そうにしている。
一一ガサガサガサ…がばっ
そこに、アースを追ってオッドとクロスが草むらから顔を出す。
オッド:「どうしたって言うんだ。突然、走り出すから驚いたぜ!…それにしても、アース…足が早すぎ…って、ユリ!!」
クロス:「俺、普段はフォーカスを頼っているから…走るのは苦手なんだけど一一って、ユー君!!」
閖雅が元の世界に戻って、気持ちを新たにしたクロスは男言葉に戻っていた。
オッドとクロスはアースに抱かれていた閖雅を見て、驚愕する。
二人は閖雅を挟み込んで、彼の身体中を触って本物か、幻覚かを確かめる。オッドに至っては、身体の匂いを嗅いでいた。
クロス:「…うん、この感触はユー君だね。俺が見たかった幻なんかじゃない…」
閖雅:「一一うん、僕…皆に会いたくて戻ってきちゃった。…クロスさん、口調、変えちゃったんだね」
クロス:「…ああ。普段はこっちを、使うようにしているけど一一臨機応変におネエ言葉を使うわよ」
クロスはそう言ってウインクをした。
オッドはチェックが済んだのか、目をキラキラと輝かせながら閖雅の頭をガシガシと撫で回した。
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