31人が本棚に入れています
本棚に追加
オッド:「うわー、本当にユリだーっ。…この変態、もう風の島に出入りが許されているのに一一この島で俺と今、暮らしてるんだぜ?…もう、変態だろ、マジで」
クロス:「そんなこと言っちゃって良いのか?…この島に居るようにしたのは君が原因なんだけど。ほら、ユー君が帰っちゃって…毎晩毎晩、悲しそうに泣いているのを知ってるんだけどなー。俺、フォーカスに乗って様子を見に来てたから知ってるんだよね」
クロスの言葉にオッドは顔を真っ赤にする。
オッド:「一一なっ……」
閖雅は言い合いをするオッドとクロスを見て、この世界に帰ってきたんだと実感する。
アースは閖雅の左腕に自分の腕を絡ませて身を寄せていた。
閖雅:「僕が居なくなって、そんな風に過ごしてくれていたんだね」
閖雅は嬉しそうな表情でオッドを見る。
オッドは恥ずかしいからか、閖雅を見れていなかった。
閖雅はオッドとクロス、アースを見ると微笑んだ。
閖雅:「一一皆に会いたくて、戻ってきちゃった。…また、一緒に居ても良いかな?」
閖雅の言葉にオッド達は満面の笑みで頷いた。
一一ガサリ
そこに、人から魔物に生を受けたメンディーが草むらから遠慮がちに姿を現す。
メンディー:「…全く、これが敵陣だったら直ぐに居場所が丸分かりじゃねーか。…ほら、お前が今、一番会いたがってる奴を連れてきてやったぞ。…浜辺で行くのを拒んでた」
メンディーが誰かの背中を押して草むらから出す。銀の長髪でロングコートを着て、青い瞳をした三十代前半くらいの男が立っていた。
閖雅の目が大きく見開く。
その男は視線を合わせようとせずに、変な方向をを向いている。
閖雅:「一一ハク」
閖雅の声に男の身体がピクリと反応する。
ハク:「……どうして、こっちに戻ってきた」
身を切られる思いで送り出したのに、戻ってきたらどんな顔をして会っていいかハクは分からなかった。
オッド:「一一なっ」
ハクの言葉にオッドは食い付こうとするが、それをクロスは止める。
閖雅:「一一皆に会いたくて。…君は、僕に会いたくなかったのかな?」
ハク:「一一っ!!…あ、会いたくないわけがないだろう!!…俺は、フォーカスの所に戻る」
ハクはキッと閖雅の方を一瞬だけ睨むと、サッと視線を反対の方に向けると踵を返して元来た道を戻る。
最初のコメントを投稿しよう!