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メンディーは大きな溜め息を吐く。
メンディー:「…あーあ、素直じゃないなーあいつ。…ユリマサ、あいつ…お前が居なくなってよぉ一一」
閖雅はハクが消えた方向を見て微笑んだ。
閖雅:「…うん、分かってる。ちょっとハクと話してくるよ」
そう言って、ハクを追いかけた。
オッド達はお互いを見合う。
オッド:「一一くっそー。結局、ユリはハクにベッタリなのかよっ」
クロス:「…妬いてる?」
オッド:「…なっ、妬いてねぇよ」
クロスはオッドを見て、ニヤリとする。オッドは慌てるが、クロスは言葉を続ける。
クロス:「…俺は妬いてるよ。たった2ヶ月間しか離れていなかったけど、その感動をハクに持っていかれちゃうんだもん」
アースは頷く。
アース:「…でもうちは、ユリマサの頬にスリスリが出来たから満足よ」
メンディー:「一一なっ」
アースに対してメンディーが羨ましそうにする。
ハクは閖雅から逃げるようにフォーカスがいる浜辺を目指す。
一一ガサガサガサ
ハク:「………」
蛇は聴覚がそこまでよくはないが、嗅覚に優れている。
今、自分の後を閖雅が追ってきていることを知っていた。
彼は今、閖雅と会いたくなかった。
会ってしまうと、ずっと胸に秘めていた思いが暴走してしまいそうだから。
ロングコートのポケットに手を忍ばせると小さな何かがあった。
ハク:「一一!」
それを取り出すと、我が目を疑う。
それは向こうの世界に戻るために閖雅がお守りとして持って帰ったものだった。
思わず、足を止めてトランプに見入っていると閖雅が追い付いた。
閖雅:「……ハク?」
ハクはゆっくりと閖雅に振り返ると白と金の背表紙をしたトランプを差し出した。
ハク:「…ユリマサ…これをお前に返す。何故か私のポケットに入っていた」
それを見て閖雅は驚いたが、ホッとした表情でそれを受けとる。
閖雅:「一一僕の気持ちがハクに届いたみたいだね。胸ポケットの中に無かったときは焦ったけど、君を止めるためにポケットの中に移動してたんだね。だって、君の歩く早さには一人だけじゃ追い付けなかったもん。…ねぇ、また…僕を背中に乗せて一一空を駆けようよ」
閖雅はハクを見上げて、手を差し出すた。
ハクは先程と違って閖雅から視線を逸らさなかった。
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