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ハク:「一一私はいつもお前を背に乗せて駆けたい。…食事や寝るときも…一緒に居たいと思っている。だから一一もし、また向こうに戻りたいと言っても……寂しさを知ってしまった私は心を鬼にしてお前を送り出すことはもう無理だ…」
ハクはそう言って、閖雅の手を握る。
閖雅は微笑んだ。彼の手は少しだけひんやりとしていた。
閖雅:「一一僕も、皆の温もりが恋しくて帰ってきた。…だから、ハクの気持ちはすごく分かるよ。それにね…きっと、向こうにいるお母さんも理解してくれると思ってる。…こっちに戻ってきたことが姉さんにバレたときがちょこっと怖いけど…ね」
閖雅とハクが話していると、閖雅の背後から現れたアースがギュッと抱き締める。
閖雅の手がハクから離れる。
アース:「…ナナミが暴れたときはうちがユリマサを守ってあげるわ」
閖雅:「一一わっ、アース!?…いつの間に…」
アースは微笑んで、人差し指で閖雅の頬をつつく。そしてハクを見る。
一一浜辺
閖雅が浜辺にいくとそこには身体が大きくて羽根が綺麗な魔鳥が、火が消えないように自分の身体を使って風避けをしていた。
魔鳥は草むらから出てきた閖雅を見た瞬間にとても嬉しそうに鳴いた。
フォーカス:「ユリマサ殿じゃありませんか!…突然、全員で草むらに突撃していくから…俺、一人にされて不安で不安で…」
フォーカスの嘆きにオッド達は笑う。
閖雅:「大変だったんだね」
閖雅はそう言うと我慢が出来ずに浜辺を走り、フォーカスの大きな身体に抱き着いて頬を寄せる。
ハク/アース:「一一っ!!」
閖雅:「…うーん。やっぱり、フォーカスの羽根はフカフカだねぇ。僕、このフカフカは向こうの世界にもないと思うよーフフフ」
その幸せそうな顔はハクとアースに再会した時以上のものだった。
そんな顔をする閖雅を見たハクとアースは、嫉妬した眼差しをフォーカスに向ける。
その眼差しを受けたフォーカスは固まってしまう。それに気づかない閖雅は頬を赤らめて羽根の心地好さを体感する。
閖雅:「…ねぇ、クロスさん。今日はフォーカスに埋もれて寝ても良いかな?」
閖雅の言葉にクロスは嬉しそうだったが、彼の背後から今にもフォーカスに襲い掛かろうとするハクとアースを見て、苦笑する。
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