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「まだ魔法は使えないの?」
「うん。魔法は使えないんだ」
魔法使いの弟子なのに恥ずかしいけど、ボクは魔法は使えない。
知っているのは魔法の効果を持つ薬の調合だけ。まだまだ修行をつまないといけないんだ。
「そっか。師匠が帰ってくるまでは夏休みでしょ?
ミンクはその間は修行もお預けなの?」
「あ、それなんだけど・・・」
ボクはラナに夏休み中の宿題について話した。
するとラナは、
「すてきじゃない」
と、目をキラキラさせて言った。
「使い魔がいるなんて、本当に魔法使いみたいだわ」
「そうなんだけど、まだ使い魔にする動物がいないんだ。自分で捕まえないといけないから」
「どんな動物が使い魔になれるの?」
ボクはラナに使い魔の条件について説明した。
本を詳しく読んだわけじゃないけど、かんたんに連れて歩けて、黒っぽくて魔法使いっぽければいい。
そんな感じだと思う。
「な~んだ。それなら先月か先々月だったか、隣のリゲルおじさんのペットが子供を産んだらしいわよ。
引き取り手を捜しているらしいから、一匹もらえば?
確か親も黒毛だったから、条件には合うはずよ」
ラナの言葉に、ボクは大きくうなずいた。
そして薬の入っていた背負い袋をひっつかむと、ボクはそのまま外に飛び出した。
勢いよくリゲルおじさんの家の戸を叩く。
何事かと出てきたリゲルおじさんに向かって、僕は言った。
「おじさんのとこで生まれた子を一匹、一番黒い子を引き取らせてください!」
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