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少女は出にくいのかして数回身じろぐと、音もなく床に降り立った。
迷彩服や拳銃さえ気にしなけれは可愛らしい女の子である。そう、迷彩服や拳銃さえ気にしなけれ……ば……それはやっぱ無理です。
こんな危険かつ不思議な状況だというのに、僕はまじまじと彼女を見た。
身長は僕より小さく、だいたい160あるかないか。色素の薄い髪を肩あたりで真っ直ぐに切ったかのような髪型に真っ白な肌。目は髪とは違い漆黒で──目があってしまった。
鋭い視線が僕を射抜く。息がしにくいのは勘違いではないだろう。と、とりあえずこういうときは挨拶だ。
「えーっと、どうも」
ヘラッと笑ってみせるなり、少女がモーションを起こした。右手の拳銃を僕に向かって突きつけたのだ。
声すら出す暇もなく──乾いた銃声が1つ。
空薬莢が飛び出し、コロコロと床を転がっていく。
僕の髪を数本ほど奪っていった弾丸のそれ。すぐ側の壁には弾痕の跡が生々しく残っている。
あれ? もしかして今、撃たれた?
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