第2章

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気に入ってくれたら幸いだ。……ってあれ? いつの間にか打ち解けてるんですけど。ほんとにいつの間にだ? 「それは内緒でありま──」 テンは気の利いた台詞の途中で、まるで液体窒素にでもぶち込まれたかのように固まってしまった。それだけならまだ耐えられたであろう。 そう、それだけなら。 簡単に言うならば、突如としてテンの頭頂部に信じられないものが生えたのだ。インパクトだけで言うなら「引き出しより登場!」に勝るとも劣らないだろう。 もちろん僕は腰を抜かしたさ。こらそこ情けないとか言うな。 テンの頭頂部に生えたのは2対二等辺三角形のもの。 うむ、僕はそれがなんて言うかをよーく知っている。それは──猫耳だった。色素の薄いテンの髪と同色の猫耳がいきなり生えたのだ。 いやいやいや、こんな物はさっきまでなかったはずっ! だけど猫耳を装着した素振りもなかった。あ、ぴくぴくふるふる動いてる。 「……ほ、本物っ!?」 「しっ! 静かにするであります!」 怖い顔して怒られてしまったであります。
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