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「うむむ……」
こう言われては断ることなどできるわけがない。しかし、行きたくないのが本音である。さて、どうしたものやら。
僕がそうこう悩んでいると、サッと挙手をする者がいた。
「おばさん、自分が行くでありますっ!」
テンだ。しかも耳をパタパタさせながらお使いを引き受けやがったし。
母さんは、ぱぁっと表情を明るくするが、すぐさま元の悩ましげなものに戻る。
「でも、お客さんをお使いに出すのわね」
「いいであります。泊まらせてくれるお礼であります。あ、部屋は志郎殿と一緒で」
待て、いま一瞬ニヤって笑っただろ?
「じゃあ、頼んじゃおっかなぁ♪ よろしく。あ、ハイこれメモね」
息子が襲われそうですよ母さん。
意気揚々な母さんからメモを渡されたテンは、笑顔を絶やさぬまま振り返ると、
「でも道がわからないであります。だから志郎殿も一緒に行くであります」
本末転倒なことをヌケヌケと言いやがった。てゆーか、場所もわからないのによく引き受けたなぁ。GPSとかないのかよ。
「あるでありますが、この時間列には適応してないであります」
GPSの意味ねぇぇぇっ!
「でもさぁ、僕は行かないからね」
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