第1章

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微妙に耐え難い沈黙がキッチンからリビングにかけてまでの空間を支配した。 志穂は困ったようにアイスと僕とを見比べると、 「食べちゃった。エヘ、ごめんね♪」 可愛らしく舌を出してウインク1つ。こういう仕草をする時の僕の妹は本当に可愛い。可愛いすぎて頭を撫でたいくらいだ、シスコン言うな。しかしだな。反省の色は……うん、ないみたいだね。僕は静かに息を吸うと── 「アイス返せえええぇぇぇっ!」 *** 「こちら家猫1号。不明反応と交戦中であります。やはり不明反応は装甲機だったもようであります」 「こちら家猫2号。了解。とにかく直ちに退くんだ」 「こちら家猫1号。不明反応2を確認……家猫1号より家猫2号、武装バックパックとレーダーに被弾」 「了解。家猫1号、武装バックパックの強制排除をせよ」 「ですが……それだと火力の低下が」 「かまわん。転移空間内ならば質量が少ないほうがいいだろう。バックパックの強制排除をせよ」 「了解。バックパックの強制排除を開始──」 *** あの食欲だけは旺盛な妹め。いつかアイスの敵討ちをしてやるからな。可愛いけど。 まとわりつく暑い空気とともに僕はキッチンを出る。
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