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「さて……」
郁徒は血走っている少年に近付いた
「そっちの女の子より、僕の血を吸いなよ」
耳元でそう呟くと少年は女子生徒から離れ今度は郁徒に噛み付いた
「……痛っ」「……っ!」
痛みに顔を歪めた郁徒を見た生徒は何をしていいか分からなかった
「おいお前、早くこっちに来い!」「えっ、ちょっと待って……」
図書室のドアが開かれ紀行が生徒を引っ張り図書室に入らせた
「サンキュー先生♪」
郁徒がそう呟き少年を見た
「……zzz」
少年は郁徒の腕の中で眠っていた
「僕の血はお前には睡眠薬みたいな物なのかい?」
クスッと微笑み頭を撫でる
「終わったか?」
紀行が怒った目で郁徒を見た
「うん終わったよ」「はぁ…お前は早く保健室に戻れ。お前らは家に帰れ」
指示をすると女子生徒は嫌な顔をしたが紀行の言うとおり帰った
「それじゃあ僕も紀行先生の指示に従って戻りますか」「これでお前のシナリオは終わったか?」
去り際に紀行が低く呟いた
「何のこと?」「いや……何でもない」
郁徒はニコッと微笑み少年を抱き上げ保健室に向かった
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