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ああ、とてもいい気分だ。こんな寝起きはしばらくなかった。寝不足感がなく、すがすがしい――。
「ユウくうん、起きて」
人がいい気持で目覚めたというのに。
これで、三日連続。
どうして合鍵つくったんだろ。正直、ウザイ。
俺は、通販で買った黒いパイプベッドの上で、これまた通販で買った羽毛布団を足にはさんで寝返りをうつ。
背中を見せたら、こいつも俺に口出しできないだろう。
「もう、八時だよお」
はいはい、はい。って、マジで!?
「エリリン、どうして、もっとはやく起こさないんだよ!」
俺は、思いきり腹筋を使って起き上がった。
「やっべ、遅刻じゃん」
「起こしたよお」
エリリンが、俺の顔を不思議そうに覗き込む。
純和風の顔にサラサラした長い栗色の髪。
そして、巨乳。
「ああ」
朝から見てしまった。
俺はそれを悔いて、寝癖満開の頭をかいた。
動揺している場合ではない。
遅刻しちまう。
俺は寝間着のTシャツを脱いだ。
やべえ、後十五分で電車に乗らないとって、俺のアパートから駅まで歩いて二十五分だし。
間に合わねえ。
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