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しゃーない、ぺったんこおにぎりでも食うとしよう。
何か、ミラーごしの運転手の視線が気になる。
一度は、普通に見たくせに、まっ平らなおにぎりを頬張る俺を、まるで未確認物体でもみるかのように二度見しやがった。
恥じい。
俺だって、もいちど握りなおして〝ちゃんとした三角おにぎり〟食いたいよお。
でもね、グスン、ラップのサイズが超ちっさいの。
今からね、僕ちんお仕事なんです。米粒をびっしり手につけてたら気持ち悪いし、ほら、虫とかくっついちゃうでしょ。
泣きたい気持ちをぐっと堪えて、運転手の〝ちら見〟を気にしないように、窓の外を見ながら、ぺったんこおにぎりを食いつづけた。
腹が減っては、戦はできぬだ。旅の恥はかきすてってんだ。ってちょっと意味が違うよね。
ま、そんなこんなで会社の前に到着。やっぱ早いよねー、毎日タク通勤してえしてえ。
だって、近所から三十分で着くんだもん。歩いて駅まで行くより効率よすぎでしょ。ま、片道三千五百円かかるけどね。って、俺の昼飯、今日はサンドイッチ決定、グスン。
そんな寂しい思いで四人の野口英世さんとタクシーで別れた。
さ、今日も張り切ってお仕事しよ。
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