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こうやって、下からうちの会社が入っているビルを眺めると、まるで白い巨塔だな。
何か、偉そうな気になるな。って、このビル全部がうちの会社なら、その気持も大きくなるんだろな。うちの会社は、五階から八階までですから。
恥じい。
こんなところで、腰に手をあてて、見上げている自分も恥じい。
おっといっけねえ。もう十分まえだ。やべえ、やべえ。
自動ドアを抜けて、タイミングよくエレベーターに乗り、五階のボタンを押した。やっぱ、今日はツイてる。日頃の行いがいいからだ、エヘッ。
調子よくフロアに着くと、もうみんな出社していた。
「ああ山本っ、今日は、新商品のサンプリングだからな、早く売り場へ行くんだぞ」
いきなり高木部長の先制パーンチ! 挨拶しろっつうの! 社会人でしょうが。
「あ、おはようございます。わかりました。それと、来週からの夏美肌キャンペーンのチラシの原本を作ってきたので、確認よろしくお願いします」
俺、社会人ー。
言いますよねえー。
そりゃあ、昨日帰宅してから作りましたから、この〝夏美肌キャンペーン〟のチラシ。考えましたよお、今なら無料サンプルプレゼントってセリフ。チラシの角に入れて。
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