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わたしが幼いながらに悶々と悩んでいる横で、母は祖母と電話をし続けていましたが、不意に母が素っ頓狂な声を出したのを、わたしは今も覚えています。
当時のわたしには状況が飲み込めず、ただ首を傾げるばかりでしたが……電話口の向こうで、祖母が、わたしにも聞こえるくらいに明るい声を出したのです。
「チャーが帰ってきた」
わたし、思わず母を押しのけて、帰ってきたの? って電話口に飛びつきそうになり、けれどそうはしませんでした。祖母が妙に朗らかな口調で、さらに不思議な言葉を述べたから。
「今、猫に送ってもらって帰ってきた」
……送ってもらって、帰ってきた? 猫が、猫に。それ、どこの猫? 疑問はつきませんでした。そんなこと、本当にあるんでしょうか……。
さらに不思議な繋がりが判明しました。チャコを家まで送ってくれたその猫は、かつてリンが自分の餌を分けてあげた野良の、親猫だったそうです。あのとき見ていた祖母が見間違えるはずもありませんでした。
こんな奇跡が、本当にあるんですね。
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