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 私、しがない猫でございます。  現在はさる屋敷にて飼い猫として愛でられ、実に幸せな暮らしをしております。ほんの半月程前までは、とても惨めで寂しくて、今考えてもぞっとするような暮らしをしていたのが嘘のよう。人生とは突然に転換を迎えるものでございます。  猫なのに「人生」と云うのはおかしいと思われるかも知れません。しかし私、半月前までは、およそ人間扱いされないまでも、人間として生きていたのです。  何故猫と転じたか、少しでも関心を持たれたのであれば、少しだけ私の昔語りに付き合って頂きたく存じます。
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