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「でね、こっちが、昨日の新聞だよ」
次にゆきが取り出した新聞は、昨日あの配達員が持ってきた新聞だった。
「ここにね、載ってるでしょ……」
少し、喉に悲しみが詰まって話しにくそうに、ゆきは声を出した。
「ほら、ね?」
ゆきが指差したそこには、本当に、本当に小さく、僕の事故のことが載っていた。
交差点で都内の高校に通う原田勉さん(18)が通学途中、乗用車に轢かれ、まもなく死亡。と。
「どうして、こんなに小さいのかな……」
ゆきがまた、涙声になる。
ここへ来てから、僕は何度、ゆきのこの声を聞いてきたんだろう。
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