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12月
年末とあって、社内は忙しい。
あと少しで社員全員に7日間の休みが与えられる。
そんな忙しいなか俺は一人、仕事とは関係ないことを考えていた。
あのキス事件から8ヶ月近くが過ぎようとしていた。
だが、あの日から浜松の俺を見る視線は変わっていた。
どう変わったかは説明できないが、とにかく、変わっていたのだ。
だから俺は、告白した。
その年最後の出勤日に。
彼を会社内にある喫茶店に呼び出して、こう言った。
『浜松?
俺と付き合ってみないか?』
普通の告白。
ごく一般的な人間なら、体験したことがあるだろう告白。
だが、俺と浜松は――男。
そこが普通とは少しだけ、異なっていた。
『返事は来期になってからくれ。』
それだけ言って、代金を払い、俺は喫茶店を出た。
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