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1月
俺は、ため息をつきながら今年初めての出社をした。
―――きっと、ふられる。
分かっている結論がもどかしくもあり、憂鬱にもなっていた。
俺の意思とは反対に、社内は活気に溢れていた。
そして、時はきた。
『高坂先輩?
今日の昼、外に食い行きませんか???』
にこやかな誘い。
『いいな。』
自分も苦にならない程度に笑みを漏らして返事をした。
――――――――――――――……
『先輩、この間の返事なんですが…。』
女性社員から人気の高い、イタリアンのお店を訪れていた。
浜松が、口を開く。
俺にとって、地獄のカウント。
『先輩。
…俺……、俺…!』
―――このフレーズ、前にも聞いたような…。
そう、キス事件の起きた数ヵ月前にも聞いたフレーズ。
一度、息を整えた浜松が口を開く。
『俺も、先輩が好きです』
少しの間。
んで、びっくりして固まってしまった俺。
『せ、先輩!?』
少し焦り気味な浜松。
嬉し過ぎて放心状態な俺。
俺と浜松は、冬の雪が散らつく日に付き合い始めた。
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