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最初の数ヵ月は那智へ仕事を教えながらフォローするのが俺の役割だった。
でも、半年を過ぎた頃には那智はすでに俺から聞くことはなくなっていて、もう俺は必要なかった。
部長に報告して、那智の研修期間が終了した。
―――これで、人事部であること以外の共通点は消えたか…。
自重気味に考える。
だが、そんな俺に反して、那智はことある事に俺を 仕事のパートナーとして選んでいた。
『高坂先輩!
今度の企画なんですが…』
『高坂先輩?
人事移動の書類、手伝っていただけますか???』
もちろん、俺は大歓迎。
だが、天邪鬼な俺の性格。
『浜松、他のやつも推薦したらどうだ?
ほら、お前に呼んでほしそうなのは、たくさんいるぞ?』
ついつい、こんなことを言ってしまう。
しかしこの後の浜松の言葉に、俺は再度惚れなおしたのを覚えてる。
『だって先輩?
他のやつとやるより、先輩とやった方が効率もいいしそれに……、
俺の見た目にだけ目をつけて、一緒にやりたい奴なんかとは仕事はしたくないッスから。』
彼の言葉は的を射たもので“一緒に仕事をやりたい”と目を光らせているのは、一部、純粋に一緒に仕事をしようという彼の同期以外は、浜松を恋人にしようとする女性社員ばかりだった。
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