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浜松の実家には誰もいなかった。
『両親、今ちょうど外国飛び回ってるんすよ』
苦笑いを漏らしながら浜松はビールを出してきた。
『先輩♪
久々に一杯やりましょ♪』
まさか、このビールが俺と浜松の関係を発展させる きっかけになるとは、夢にも思わなかった。
――――――――――――――……
浜松は完全に酔っていた。もちろん、そんな浜松に付き合って飲んでいた俺も酔っていた。
『先輩―――?
…俺…、俺…!』
何か言いかける浜松。
残念ながら、酔っている俺の耳には届かなかった。
トイレを借りようと立ち上がった瞬間、俺はよろめいた。
慌てた浜松に座った状態で受け止められる。
そのまま、重力によって、俺と浜松はキスをした。
しばらくして、状況に気がついた俺が浜松から離れる。
とっくに酔いは覚めていた。だが、酔いを理由に忘れたふりをした。
それから、浜松から受ける視線が少しだけ変わったように感じた。
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