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「あのさ…お母さん」 「なによ?」 忙しいのって言って聞く耳を持ってくれない… こうしてる間にも時間は刻々と過ぎていく 「お母さんってば!」 洗濯物をたたんでいる手がピタリと止まった 「俺…家出するから。いつ戻ってくるかわかんねーけど…必ず戻ってくるから!」 お母さんは一瞬歪んだような表示を見せたのもつかの間…いきなり笑い出して、こう言うんだ 「何言ってるの。まったく頭打っちゃったのかしらヒロは。」 「本気なんだ!…信じて欲しい」 「…また嘘言っちゃって何言って…」 ふと顔を上げて見てみると、お母さんの頬は濡れていた 「ヒロ…お母さんを1人にしないで…寂しいじゃない…」 何も言えなかった。 沈黙は続き、時計の針の音だけが現実を教えてくれる (ヒロ。お母さんには何とか言って早く家を出て!) 「…やっぱり無理だよ!…俺にはそんな事出来ない!」 白猫は悲しい表示を浮かべながら ニャ- と一回だけつぶやいたのは今でも覚えてる (そうやってグズグズしてたら…ヒロのお母さんにも被害がでるんだよ!) わかってる…わかるけど!…俺には出来ない…
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