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「あら、そちらのお嬢さんは?自己紹介も出来ないなんて、さすが『我が子』が選んだ女性ですね」
オルマはコロコロ喉を鳴らしながら笑う。
人間として、人格が歪んでしまっているのかも知れない。
「…おい」
その言葉を聞いたソウルは、殺気を全開にして言った。
「俺のことをいくら馬鹿にしようと構わない。だが、彼女を馬鹿にするのは産みの親だとしても許しはしない」
そう言い残し、ソウルはフェリルの腕を掴み、部屋を出て行った。
部屋の中に残ったラウルとオルマは、自分の息子の殺気に震えていた。
(なんだあのさっきの殺気は……。この俺が恐怖するなど……。)
二人はまだ、自分達の息子がどれだけ成長しているかなど知るよしもなかった。
ソウルは無言でフェリルの腕を掴み、自分の部屋に向かっていた。
そして、到着するや否や、部屋の中に入り、フェリルを抱きしめた。
急なことに、フェリルは驚き固まってしまった。
「ソ、ソウル……、どうしたの?」
するとソウルは、ハハ、と笑いながら、言葉を紡ぐように話し出した。
「お前に、俺が何と言われようと怒るな、なんて言っておきながら、俺が怒ってちゃ、意味がねぇよな……。」
ソウルはさらに強く抱きしめた。
「我慢しなくちゃいけないって分かってんのに……やっぱ無理だった。自分が愛してる人を馬鹿にされるのを黙って見てるのは……」
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